ある会社のインターンに参加した学生から、終了後に一通のメールが届いた。内容は感謝の言葉で締めくくられていたが、その中にひとつ質問が含まれていた。私はそのメールを経営者に転送し、どう返答すべきか相談した。しかし経営者は、その質問を見て「自分で答えたい」と言った。その質問を簡潔に言うと、
「なんで働かないといけないんですか?」
というものであった。
経営者は、インターンの成績や質問の内容が採用や選考には関係ないと話しつつ、この質問には勇気があると感心した。そして、真剣に回答したメールを学生に送った。その返事として学生から感謝のメールが届いたという。
こんにちは。
あなたから「なんで働かないといけないんですか?」という質問をもらい、とても驚きました。正直に言えば、私は「働くのは当たり前のこと」と考えていました。しかし、当たり前と思っていることに疑問を持つことは非常に大切です。ですから、あなたの問いに真剣に向き合い、考えた上で回答したいと思います。
私もかつては、あなたと同じように「働くのはつらく、苦しいことだ」と感じていました。今も正直に言えば、仕事が楽であることはほとんどなく、苦しいことも多いです。しかし、働くことにはあなたにとって多くの価値があると考えています。
1. 働くことはお金をもたらす
「お金はいらない」と考える人もいますが、生活をする上でお金は必要です。「お金のためだけに働く」となると、確かに仕事は苦しいものになるかもしれません。しかし、働くことで生活基盤が安定し、自由に選択できる範囲が広がります。お金は単なる手段ですが、人生を豊かにするための重要な要素です。
2. 働くことは明確な目標をもたらす
人生の目的や生きる意味についての答えは私も持っていません。しかし、会社で働くことで「今年は何に取り組むか」といった具体的な目標が与えられます。毎日を無目的に過ごすよりも、目標を持ち、それに向かって努力することは自己成長につながります。
3. 働くことは出会いをもたらす
消費だけで生活していれば、人と会う機会は限られます。しかし働くことで、職場の同僚やお客様、取引先など、多くの人と関わることになります。すべての出会いが意味あるものとは限りませんが、一度の出会いが人生を変えることもあります。「一期一会」という言葉の通り、出会いの価値は計り知れません。
4. 働くことは学びをもたらす
働くことは常に学びです。会社には知らないことが溢れており、毎日学ぶことが必要です。学校の勉強とは異なり、会社での学びは問題を自分で作り、解決策を考え、実行まで関わる創造的な活動です。このプロセスを通じて、知識だけでなく実践力や考える力も身につきます。
5. 働くことは信用をもたらす
仕事をすることは責任を引き受けることです。「責任を果たす人」は社会的に信用されます。信用はお金では買えません。きちんと働き、約束を守り、成果を出すことによって築かれるものです。働くことは、社会からの信用を積み上げる第一歩です。
6. 働くことは自信をもたらす
「自信」は重要です。真の自信は、虚勢や見せかけではなく、努力と実績の積み重ねから生まれます。働くことで成果を出し、自分の力を実感することが、自信につながります。つまり、働くことは自己肯定感や自己成長をもたらす行為でもあります。
以上が、私の考える「働くことの意味」です。これはあくまで私個人の意見ですが、あなたが抱いた疑問への一つの回答になれば幸いです。

