2025年現在、外国為替市場では円高傾向が鮮明となっている。日銀がマイナス金利を解除し、段階的な金利正常化へと政策を転換したことを受け、円は対ドルで135円台、対ユーロでは144円前後と、2024年と比較して約10〜15%の円高が進行している。この為替環境の変化は、国内企業の収益構造にも大きな影響を及ぼしており、特に「円高メリット銘柄」にとっては業績拡大の好機だ。
今回は、円高を追い風に利益率が跳ね上がる可能性のある注目企業をピックアップし、現時点で投資妙味が高いとされる銘柄群を整理した。
円高の恩恵を受ける企業の特徴とは?
一般に、原材料や製品を海外から輸入する企業は、円高時に調達コストを大きく抑えることができる。また、海外との価格競争に晒されている業種においても、為替の改善が収益力を直接押し上げる効果がある。
内需主導型で輸入比率の高い小売、食品、アパレル、家具・インテリア関連企業などが、その代表格だ。加えて、円建てのコストで海外売上を上げるグローバル展開企業にも、収益の改善余地がある。
良品計画(7453)
「無印良品」ブランドを展開する良品計画は、アジアを中心にグローバル展開を進めており、製品の多くを海外から調達している。特に、アパレルや日用品など原材料価格に為替の影響を受けやすい商材が多く、円高は直接的なコスト低下につながる。
2025年2月期決算では営業利益が前年比15%増と、コスト改善が業績を押し上げた。今後も為替環境の安定が続けば、さらなる増益が期待できる。
ニトリホールディングス(9843)
家具・インテリア大手のニトリは、海外工場からの直輸入比率が非常に高く、円高の恩恵を最も享受しやすい構造を持っている。製造から小売までを一貫して行うSPAモデルを採用しており、円高時にはその価格優位性がさらに強まる。
2025年3月期の通期業績見通しでは、営業利益が前年比約18%増とされており、実際にコスト低減と販売拡大の両方で恩恵を受けている。
イオン(8267)
総合スーパー大手のイオンも円高メリット銘柄として注目されている。食品や日用品の輸入比率が高く、特にプライベートブランド(PB)商品においては、調達コストの低下がそのまま利益率の改善に直結する。
また、国内消費の底堅さとインバウンド需要の回復も追い風となり、2025年度は小売セグメントの業績回復が顕著に表れる見込みだ。
サンドラッグ(9989)
ドラッグストア大手のサンドラッグは、医薬品以外にも日用品や化粧品などを多く取り扱っており、円高による仕入れコストの低下が営業利益の押し上げ要因となっている。全国的に出店を続けており、既存店の堅調な売上に円高の効果が加われば、収益性の改善はさらに加速する可能性がある。
投資戦略としての“円高株”活用
現在の為替環境では、円高が短期的なトレンドとして定着しつつある。投資家にとっては、この円高メリットを享受できる銘柄への分散投資が、有効なリスクヘッジ手段となり得る。
特に注目したいのは、単なる輸入依存ではなく、為替の変動を自社の利益構造に取り込みやすいビジネスモデルを持つ企業だ。SPA(製造小売)型やPB商品を積極展開している企業は、その代表例と言える。
さらに、今後の企業決算においても、円高が業績予想の上方修正要因として働く可能性があるため、決算前の先回り投資としても妙味がある。